健康保険
2016年12月27日
交通事故の場合、健康保険が使えないと言われる場合がありますが、第三者行為災害という手続きをとれば健康保険を使って通院することもできます。
健康保険を使った場合、通常治療費の7割を健康保険組合が負担します。
一般的に任意保険会社は交通事故被害者の治療費については一括といって医療機関に直接支払います。この場合医療費は健康保険を使わずに、自由診療として扱われます。
自由診療と健康保険診療はどのような違いがあるのでしょうか。
まずは、医療費の金額が違います。
自由診療のほうが、保険診療よりも治療費そのものの額が高くなります。また、自由診療はその高い治療費の全額を払う必要がありますが、保険診療は低い治療費の3割を支払えばよいことになります。
保険診療よりも自由診療のほうが治療費の額が高いのは診療報酬の単価が自由診療の方が高いからです。
つまり、自由診療のほうが、健康保険診療より医療費が高くつくのです。
ではどういった時に健康保険を使うことになるのでしょうか。
まずは加害者が任意保険に加入していない場合。
3割の自己負担で済むので相手方から回収できないリスクを考えると健康保険を使った方がいい場合もあります。自賠責保険には加入していたという場合でも自賠責保険は障害(治療費、休業損害、通院費用等)につき120万円が上限となっています。そのため、回収が可能な自賠責の範囲で適切な治療を受けるためには医療費を抑えなければいけない時もあります。
また、被害者に過失がある場合その過失分は自己負担になりますので治療費の総額が安い方が有利になります。
自賠責保険は障害につき120万円が上限となっていますから、逆に言えば任意保険会社は、120万円までなら自賠責保険から回収できるので割と容易に支払いに応じてきます。
しかし、120万円を超えてくると保険会社は治療費の打ち切りや出し渋りをだしてきます。
そのため、被害者としてきちんと治療を受けるためには防衛として医療費の総額を抑える必要が出てくる場合があるのです。
もちろん重篤な事故の場合では、そのような120万円の上限などすぐに超えてしまいますので
保険会社も支払ってきます。しかし、健康保険を使って医療費を抑えておくと任意保険会社も健康保険を使ってくれたからということで他の点で譲歩してくれることもあります。
他方で健康保険ではカバーされない治療があることにも留意が必要です。
当院では、ケガの自然治癒を促す、最新医療機器の高周波治療器などは
保険診療では難しくなりますし、他の病院や治療院でもカバーできない治療が多々あるかと思います。
健康保険を使うこと許容していたばかりにそのような治療が受けられないというのでは泣くに泣けません。
色々なメリットとデメリットを考え、適切な治療を受けていただきたいと思います。