脂肪

2017年03月27日

 

ルナ整骨院では、交通事故の施術も行っております。

お電話またはネットからのご予約お待ちしております。

 

脂肪というとすっかり悪役のイメージですが、3大栄養素のひとつにも数えられるように、

カラダにとってなくてはならない存在でもあります。

タンパク質や炭水化物よりも1キログラムあたりのカロリーが豊富でエネルギー密度が高い為、

多くの狩猟採取社会で重要な役割を果たしています。

ほとんどの伝統的な食生活において脂肪は全カロリーのうち40%前後を占め、

さらには伝統的なマサイ族の生活ではその役割が約66%、

イヌイットにおいては約70%に上がるとも言われているそうです。

動物性食物源への依存度が高い文化には、「ウサギ飢餓」と呼ばれる病気があるという。

狩りの獲物となる動物がやせ細る晩冬や早春に脂肪分の少ない肉を摂取し過ぎると、

脂肪とタンパク質のバランスが崩れてタンパク質中毒を起こしてしまいます。

 

脂肪は、栄養素としてだけでなく「象徴」としても機能していました。

貴族たちの饗宴におけるご馳走としての肉、

年貢として徴収されることもあった牛脂やバター、

紀元前から君主の権力を示す道具でもあったオリーブオイルなど、

古代から中世にかけて社会的序列を表すものとしての役割を担っていた例が挙げられます。

さらには宗教との関わりにおける象徴としての働きについて、バターを中心に書かれています。

さまざまな宗教で、バターは多産を願って新婚夫婦に壺に入れたバターを贈る習慣があったとい

います。フランスのブルタ-ニュ地方では、結婚の祝宴で彫刻や装飾を施したバターのかたまり

がいくつも飾られたそうです。

チベットでは、バターは寺院の仏像に塗り付けたり、

女神像など仏教のシンボルである彫刻を作ったりするのに使われるそうです。

 

今では嫌われ者とされる脂肪も、

地域や時代を越えて眺めるとずいぶん違った扱われ方をされていることがわかります。

 

では、悪役としての歴史は一体いつ頃から始まるのか。。。

大きなきっかけとなったのが、ミネソタ大学のアンセル・キーズ博士によって

1950年代に開始された「7ヶ国研究」です。

アメリカ、日本、フィンランド、オランダ、ギリシャ、イタリア、加えて当時のユーゴスラビア

の中年男性の食習慣について長期にわたり調査したこの研究では、

日本など心臓疾患の少ない国の国民は飽和脂肪酸の摂取量が少ない傾向にありますが、

アメリカやフィンランドを含む国々は心臓疾患の罹患率と食事に含まれる

飽和脂肪酸の量が高水準であることが指摘されました。

「食事と心臓疾患に関する仮説」と呼ばれるこの研究の成果が認められ、

広く一般にも知られるところとなりました。

 

相関関係はあっても因果関係があるとは限らない、

飽和脂肪酸の代替物として使用された部分硬化植物油の製造時に発生する

トランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼす、

そもそも脂肪を「良いもの」と「悪いもの」に単純に区別すべきでない、といった

批判の声は当初から上がっていました。

しかしキーズ博士の考えは当時の多くの医学的権威によって支持され、

飽和脂肪酸「悪魔」説は通説となります。

消費者団体からの圧力も加わり、大手食品メーカーは部分硬化植物油への

シフトを進めていきました。

 

90年代にトランス脂肪酸の悪影響が明らかにされました。

感じるのは、何が体に良いのか、または悪いのか、

とにかく人は健康に関してはっきりした答えを欲しがるということです。

「脂肪の善悪二元論」によって生まれる信仰と、

その移り変わりに沿って乱立と淘汰を繰り返す健康ビジネス。

脂肪に限った話ではありませんが、健康に関する情報に対して

適切な距離を取ることの難しさは今に至るまで変わりません。

 

西洋に関する記述に偏りがちな感はあるものの、すっかり定着した「悪役」としての

脂肪に別の角度からスポットを当て、より前向きで豊かなイメージを抱かせてくれます。

 

 

ページの一番上に戻る